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図書館のレファレンスとサークルと図書館報と

私が担当している仕事は下記の通りです。

・レファレンス(利用者対応・事例の集計と報告・資料選定)
・いなぎ図書館だより「ひばり」の作成
・英語多読サークル「いなぎ多読らぶ」の運営
・イベントの企画・開催(シニア向け、子ども向けの図書館体験講座、大人向けの図書館利用講座、子ども向けの調べもの講座、読書会)

少し詳しくお話ししたいと思います。

レファレンス

「レファレンスサービス」とは、『何らかの情報を求める利用者の質問(参考質問)に対して、回答の含まれる情報源を指示・提供すること』(参考資料『図書館用語集』日本図書館協会/編)とあります。

例えば「稲城市の地名の由来について調べたいのですが」という利用者からの質問に対して、調査に役立つ資料を紹介するのが私の仕事です。答えを出すのはあくまでも皆様であり、私はそのお手伝いをしています。

このほかにも「多摩川にはどんな生き物が生息していますか?」や「明治時代の東京の地図が見たい」といった質問を受け、調査に役立つ資料を提供してきました。

美術品の鑑定や病気の判断などお答えできないこともありますが、探している本などあれば遠慮なくお声がけください。

そして皆様から頂いた質問を集計し、図書館スタッフ間で共有することも大切な仕事です。カウンターにいるどのスタッフに聞いても同じように役立つ回答ができることを目指して努力しています。

また、その情報は図書館のレファレンスコーナーにどんな本を置くか選ぶのにも役立ちます。今後も利用者の皆さんにとって、あって良かったと思える本をそろえていきます。

今回紹介したレファレンスの事例は稲城市立図書館ホームページの「レファレンス回答事例集」を引用しています。答えが気になった方は図書館HPをチェックしてみてください。


ここで、レファレンス担当として、ぜひとも紹介したい本があります。

2009年に光文社より出版された『おさがしの本は』です。作者は門井慶喜さん、2018年に『銀河鉄道の父』で直木賞を受賞しています。『おさがしの本は』このタイトルこそ私の業務内容を端的に表現しています。

主人公は私と同じ「レファレンス」業務を担当する図書館司書です。私の業務内容を紹介するにあたり、これほどぴったりな本は他にありません。ひさびさに読書感想文を書くような気持ちで、この本を紹介しようと思います。

主人公の和久山隆彦(わくやまたかひこ)はN市立図書館に入職して7年、調査相談課に配属されて3年になる図書館司書である。念願の職に就いたはずが、理想と現実のギャップに図書館司書としての情熱を失いかけていました。

その上、図書館を「無料貸本屋」、「コーヒーの出ない喫茶店」などと卑下するようになってしまいました。そんな和久山ですが、レファレンス担当としての能力はかなり高いです。作中では「担当になって3年の新米」と自身を評していますが、調査するために必要なツールへの理解度や、幅広い知識を持っています。新米などとは言えないレベルです。

そんな和久山は、自身に届くレファレンスに同僚の助けを借りながらも答えを見つけていきます。その姿はまさに名探偵のようで、利用者の言葉の端々から情報を読み取り、推理も交えて利用者が求める本を見つけ出していくのです。この本にオリジナルのジャンルを付けるとすれば、「図書館お仕事ミステリー小説」がぴったりです。

和久山の下に寄せられるレファレンスは「シンリン太郎について調べたいんですけど」という短大生のレポート作成の手伝いであったり、「赤い富士山が表紙書かれた本を探してほしい」という老人の思い出の一冊探しであったりします。さらには図書館廃止を訴える新任館長と対立し、市議会議員を相手に図書館の必要性を演説することまでしてしまいます。

まさに自身が感じていた図書館は「無料貸本屋」、「コーヒーの出ない喫茶店」という考えを自ら否定することになってしまいます。

図書館の存在意義は何か」という問いに和久山が出す答えは必見です。読んだ私も納得し、関心してしまいました。この物語の結末はぜひ本を読んで確かめてください。

そして、その時には「レファレンスとはどんな仕事なのか」分かっていただけていると思います。レファレンス担当の業務を案内するのにこれ以上ふさわしい本はありません。

いなぎ図書館だより「ひばり」の発行

皆さんはいなぎ図書館だより「ひばり」をご覧になったことはありますか?稲城市の図書館で行われるイベントの広報や図書館の利用案内など皆さんにとって役立つ情報を発信しています。

読んで楽しい広報誌を目指して図書館スタッフによるコラムやおすすめ本の紹介など行う新コーナー「nakanohito」(中の人)などを立ち上げました。毎月15日に発行、市内各図書館にて配布しています。ぜひ手に取ってご覧ください。

英語多読サークル「いなぎ多読らぶ」の運営

英語多読とはやさしい絵本から始めて、少しずつ文字の多い本へ読書の幅を広げていく学習方法です。やがてペーパーバックの本も楽しめるようになります。

「いなぎ多読らぶ」では単語の暗記や文法の学習などは一切行っていません。自分の好きな絵本を紹介し合ったり、みんなで物語のオチについて考察したり、英語による読書を楽しんでいます。

立ち上げから3年ほどになりますが、はじめは簡単な絵本しか読めなかったけれど、今ではペーパーバックの本を楽しんでいる方も実際にいます。

「いなぎ多読らぶ」は毎月第二土曜日の午後2時から4時まで開催しています。途中参加も途中退室も自由ですので、ご都合に合わせて参加してください。

イベントの企画・開催

大人と子どもに向けて図書館の利用方法を楽しく学んでいただくためのイベントになるよう企画を考えています。

8月には子ども向けに図書館の本を使って、さまざまな問題を解いてもらうイベント「図書館何でも調べ団」を開催しました。

その他にもZoomを使ったオンライン読書会「稲城ブックサロン」をはじめて開催いたしました。テーマを決めて参加者で本を紹介し合いました。オンラインならではの様々なアクシデントがありましたが、とても楽しい読書会になりました。

今後も図書館で使えるオンラインデータベースの利用方法を学ぶ講座や図書館の仕事を実際に体験していただくイベントを開催しようと企画を練っているところです。

図書館のイベント情報は館内のポスターや図書館のホームページ、先にご案内した図書館だより「ひばり」などに掲載されています。ぜひご覧ください!