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図書館の「福袋」とは??

図書館では、いろいろな方に本を読んで頂きたいという思いがあります。しかし、自分自身で選んで読む本は、ジャンルが同じ傾向になりがち。

そこで、多くの方にいろいろな本を手に取ってもらえるには…と考えたのが、テーマを決めて数冊本を集めて袋に入れたものをご利用いただく、図書館福袋というものです。

この福袋は、現在では全国各地の図書館で行っているもので、図書館によっては、「本の福袋」や「おすすめ本」などなど、名称も多岐にわたります。稲城市立中央図書館でも、福袋を開始してかれこれ10年ほどになります。

毎回大変好評いただき、いまや当館の風物詩ともいえるこの図書館福袋について、ご紹介していきます。

稲城市立中央図書館の「福袋」とは

中央図書館で作る福袋は、主に学校の長期休暇期間に合わせて、年に3回の春・夏・冬に登場します。

春と冬は、休み期間も短いので限定数としていますが、夏は、休み期間も長いので、個数の制限を作らず、数を多く作ることが必要になり、腕を磨く場でもあります。

さらに夏など長期戦となると、次第に自分の持っている本のネタが無くなり、更に本を読む作業も増えてくるので、図書館の「中の人」にとっては、日頃の読書がものをいう時でもあります。何せ夏休み福袋、300袋以上もご利用いただいたこともあるのですから…!

稲城市立中央図書館では、全員でテーマを決めて作るので、自ずといろいろな福袋が出来ることになります。

月間で特集展示のテーマでも、「スタッフおすすめ」など「図書館員が選んだ本」というカラーが強いものは、特にいろいろな方に借りていただける傾向があります。

図書館福袋にはその要素を持ちつつ、さらに「どんな本が入っているか…」というわくわく感もあるのです。

改良を重ねてきたラインナップ

今の冊数に至るには、こんな考えをして決まりました。

現実的にどの程度ならば、借りてもらえるのか…。

貸出点数の上限は、稲城市立図書館では10冊。これは、図書館によっていろいろです。福袋の冊数を上限いっぱいの10冊だと、自分の読みたいと思う本が借りることが出来なくなります。

では、自分で選んだ本も借りたいと思う本が5冊でいいのか…と考えていき、検討を重ねた結果、手に取りやすい3冊程度をひとつの袋に入れることになりました。

それと同時に、対象年齢も考慮しています。

現在は、細かくなりましたが、大前提として、まず「幼児」と「大人」は必須対象として考えました。ここから、利用状況や利用者の皆さんからの声をもとに、年々ブラッシュアップしていきました。

その後小学生は、年齢幅と学年により読む本の活字数も違ってくるので、「低学年」と「高学年」に分けました。

加えて、「YA」(=ヤングアダルト、中高生向きの意味)を含め、全部で5種類で作成をしていました。

次第に図書館福袋が定着していく中で、特に要望が多かった小学生の中学年や乳児向けが増え、現在は「赤ちゃん」「幼児」「低学年」「中学年」「高学年」「YA」「大人」という構成となっています。

袋数の内訳はこれまでのご利用状況から、幼児や大人の方が多く、次に低学年・YAなども多くご用意しています。

楽しんでいただくために心がけていること

テーマを決めて作るのか、はたまた、自分が読んで楽しいと思った本を集めて、テーマを見つけていくのか。スタッフそれぞれに好きな作り方があるようです。

中身を作る際には、気を付けていることがあります。

同じような内容の本を3冊集めても楽しめるのか…などを考えて、テーマがあっても、なるべく3冊それぞれで内容が違ったり、楽しめたりするものがあるように心がけています。

また、いろいろな方に手に取ってもらえるように、どんな本ならば読みやすいか、楽しめる本があるのかなどを考えて中身を構成していきます。

利用する年齢層や曜日によって、来館者の傾向が異なってきます。
平日は、学生よりも大人の方が多く、水曜日や土日祝日などは、幼児や赤ちゃんなどいろいろな方に手にとってもらえる機会となります。

図書館福袋は「無料」ではない??

テーマが合致すると袋を手に取ってもらえる機会が増え、ご利用される方にとっては、いろいろな読み物に出会う楽しみの一つになっています。

テーマだけで中身の見えないセットを借りてもらい、出会いを楽しんでいただくというこの図書館福袋も、開始当初に比べると認知度は上がり、毎回大変好評です。「図書館の」福袋という点をもっとPRしていきたいと思っています。

とはいえ、図書館の福袋が何者であるか、ご存じない方もまだまだいらっしゃいます。

「福袋」ということで、無料で本をもらえると思って開始日に駆け込まれる方もいらっしゃいます…。知っていただきご来館いただいたことは嬉しい半面、誤解を生まないような工夫も必要です。今後も「図書館の」福袋という点をもっとPRしていきたいと思っています。

2021(令和3)年の新春福袋は1月4日(月)から

なお、2021年初めの図書館福袋は1月4日から開始の「新春福袋」です。今回は、中央図書館・iプラザ図書館の2館でご用意しております。それぞれに個性がありますので、何袋でもお楽しみいただけます!くわしくはホームページもご覧ください↓