公共図書館児童担当の仕事と想い
図書館の仕事って、「本を貸すことでしょう」と思っている方いらっしゃいませんか?
もちろんそれは図書館の大事な仕事の一つです。
でも、それだけじゃないんです。図書館の仕事は本当にたくさんあります。
私自身も図書館で仕事をするまでは知りませんでした。
そこで今回は、稲城市立中央図書館・児童担当の仕事の一部をご紹介します。
児童担当の仕事はおおまかにいうと、以下のようになります。
・書架の整備(図書の収集・除籍、損傷本の修理など)
・おはなし会・講座・映画会などのイベント
・ブックリスト作成、学校や保育園・幼稚園など図書館以外の組織との連携
この中から、今回は「書架の整備」と「おはなし会」についてご紹介します。
書架の整備
まず、書架の整備の中の図書の収集についてですが、児童コーナーには絵本・紙芝居・読み物のほか、一般と同じように0門から8門までの分類の本が並んでいます。
利用者は0歳から、年齢制限はありません。その幅広い利用者に喜んでもらえるような書棚作りのために、新しい本の選書・購入、損傷本の修理、損傷がひどい場合は除架(書架から資料を取り除くこと)や買い換えを行う場合もあります。
どんな本を書架に並べるか、図書館の顔とも言える選書作りはとても大切なやりがいのある作業です。
新しい本の選書は、毎日書店から運ばれて見計らいの書棚に並ぶ本から選ぶのですが、各館の職員が自館に所蔵する資料の候補を選んだ後、週に1回全館の児童担当が見計らい会議を行い購入資料を決定します。そこで話し合いを行うことで、いち自治体として統一した選書となっています。
だからといって全館同じ選書というわけではなく、それぞれの館の個性や中央図書館としての役割なども考えています。
特に中央図書館では、学校に調べ学習として貸し出すための本や、市内各小学校に学級文庫として貸し出す本も購入しています。見計らいだけでなく、広く情報を入手して出版情報を知ることも大切な仕事です。
このように、次々と購入していると書架が満杯になってしまいます。満杯の書架は除籍が必要になるのですが、ある意味新刊を選書するより難しいことです。
まずは、損傷本を除籍候補に挙げるのですが、貸出回数が多く購入可能な本は買い換えを考えます。複本があれば除籍します。損傷本の修理もかなり時間を要する仕事です。
児童コーナーの書架の整備をすることで、子ども達が楽しそうに本を選んで持ちきれないほど借りたり、図書館で本を夢中になって読んだり、お父さんお母さんが読み聞かせをする絵本や紙芝居を、子ども達が真剣なまなざしで見つめていたりする姿を見ることができます。
児童担当として、その様子を見ることが励みになって、元気をもらっています。
おはなし会
次におはなし会は、図書館の本と子どもを結びつけるために、本を読み聞かせしたり、手遊びをしたりします。
残念ながら現在(2020年10月1日)は感染症拡大防止対策のためお休み中です。対象は0歳~小学生までですが、最近は0.1.2歳向けのおはなし会の参加者がとても多くなっています。
幼い子は生後4ヶ月くらいから、おかあさんにだっこされて、絵本を読む声やわらべ歌を聞いて気持ちよさそうにしています。
生で語りかける人の声は、テレビやYouTubeから聞こえてくる声とは異なる印象を与えるようです。また、おかあさん自身も人とのふれあいを求めているのかもしれません。ここでママ友になる方もいらっしゃいます。
幼児向けの絵本の時間は、参加者は少ない傾向ですが、本が好きな子ども達が集まって、とても集中した濃い時間となります。
どちらも担当者がプログラムを吟味し参加者の年齢にあった本を選んでプログラムを作って紹介しています。直接顔を見て利用者である子ども達と接することができる数少ない機会なので、一日も早くおはなし会を再開させたいと願っています。
児童担当の仕事の一部ですが、紹介させていただきました。児童担当は本と子どもが好きなメンバーです。一人でも多くの子ども達に本の楽しみを伝えることができますよう願っています。
最後に、児童文学作家・石井桃子さんの言葉を引用させていただきます。
子どもたちよ
子ども時代をしっかりと たのしんでください。
おとなになってから
老人になってから
あなたを支えてくれるのは
子ども時代の「あなた」です
『石井桃子のことば』(新潮社)より