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スタッフコラム「行ってみた記―岡山県立図書館」

5月初め、帰省の際に念願の岡山県立図書館に行ってみた。

数年前、近くを通りかかった際、岡山県庁のすぐ北側に目新しいビルが建ち、休日にもかかわらず駐車待ちの車で渋滞していたのに驚いた。

帰宅して調べてみるとその建物が岡山県立図書館で、そこに利用者が押し寄せているらしい。ちょっと待て、いつからそんなことになっていたのだ?

確か、岡山県立図書館は天神町の岡山県総合文化センター(当時の名称)
内の2階・3階にあり、閉架式の図書館だったはず。本を持ち込める別室での学習利用者は多かったが、閲覧室が混み合っている図書館ではなかった。

さらに、岡山県庁の道路を挟んで北側にあったのは丸の内中学校だ。学生時代に1か月岡山県庁でアルバイトをした経験があり、6階北側の窓から毎日見ていた丸の内中学校の校舎と広い運動場は今でも鮮明に記憶に残っている。

なんと、この岡山県立図書館、丸の内中学校の統廃合に伴い、2004年9月に現在の地に移設されたのだが、その後、都道府県立図書館としては14年間も最多入館者数を誇ったという、図書館界では超話題の図書館だったのだ。

どうして年に何度も帰省する岡山のことなのに知らないできたのだろう。どうやら私の頭の中だけで以前の県立図書館が固定化され、聞いても結びつかなかったからだろう。

岡山県立図書館は岡山県庁と岡山城の間に位置する。近くには日本三景園の後楽園、放送局、市民会館や美術館がある。岡山市の中心街ではあるが、緑が多く風光明媚な地区だ。

岡山城が烏城とも呼ばれ、黒を基調とした城であるのに合わせて、県庁の建物も黒い。岡山県立図書館はこの地域の景観になじむ、城の縦格子窓をイメージさせる縦ストライプデザインの4階建ての建物となっている。建物の東南には内堀をイメージした水盤の整備されている。

訪れたのは日曜日の正午ごろ。一日の内では最も利用が落ち着いているだろう時間帯を選んだ。それでも1階の飲食スペースは満席だったし、返却コーナーにも列ができていた。

入ってすぐの壁の左側は図書館関連のお知らせと、右側は5月のテーマ展示、両側の上部には過去に来館した著名人の色紙が飾られている。岡山出身作家の小川洋子さんのものもあった。

建物の1階2階が閲覧室で、1階の左側は児童資料、右側は新聞雑誌を含む
一般資料。2階の左側は郷土資料、右側は視聴覚を含む一般資料が配置されていた。

県立図書館のホームページによると、「参考資料部門」「人文科学資料部門」「児童資料部門」「社会科学資料部門」「自然科学・産業資料部門」
「郷土資料部門」の主題別6部門で様々なサービスを行っているとのこと。

これら6部門それぞれに専用のカウンターが設けられているため、カウンター内のスタッフの数がとても多く、利用者が気軽に声をかけて資料を探してもらったり、レファレンスの相談をしていたりする場面に多数接した。

図書館で仕事をする前は、図書館に行くと書棚にどんな資料があるのかを
見るのが楽しかった。図書館には古い資料もあるので、書店とはラインアップが異なっているのも魅力的で、背のタイトルを見るだけで時間を過ごせたものだ。

今気になるのはテーマ展示。どんな展示が図書館のどのあたりのスペースで
行われているか、飾りつけはどのようにされているか、展示が利用者にどのように活用されているかなど、興味が尽きない。

岡山県立図書館では、主題別6部門でそれぞれ展示が行われていた。
「本で5月病を予防しましょう! お疲れ注意報!」「新生活を楽しもう」「本の薬箱~健康でいよう!~」「100歳まで歩ける身体づくり」「育てよう野菜 咲かせよう花」「はじめてのスマホ・タブレット」「エモい昭和のくらし」「ビジネスに役立つ! プランディング」「あっ晴れ岡山人―里村欣三」「学ぼう!ハンセン病問題」

児童コーナーでは
「春の本」「ともだちいっぱい」「昨年の主な児童文学賞受賞作品」
などなど、ざっと上げただけでこれだけの展示。

図書館の所蔵資料を活用した展示は、資料の紹介とともに利用者がふだん手に取らない様々なテーマの本にも触れる機会を作る資料の利用活性化の役割があり、重要な司書の仕事の一つだ。

岡山県立図書館ではどの展示も切り絵などの装飾がたくさんあり、親しみやすく目にも楽しい工夫がされていた。これだけの数の展示が期間ごとに変わるのだから、利用者は様々な資料に出会え、知的好奇心をくすぐられていることだろう。

来館者が多いのは利用することで得られるメリットが大きいからだとしたら、これらの豊富な展示は間違いなく大きな要因となっていることだろう。

このほか、岡山県立図書館のホームページでは電子図書館システムとして、
誰でもどこからでも利用できる「岡山デジタル大百科」が用意されている。

この中にあるレファレンスデータベースでは、例えば桃太郎伝説や県庁で正午と夕方5時に流されていたミュージックサインなど、岡山ならではのレファレンス事例とその回答も掲載されている。また、郷土情報ネットワークでは、県内の学校の校歌の音源を聞くことができたりもする。

県立図書館と市立図書館では規模や役割の違いはあるだろうが、図書館はそこにいるスタッフたちと利用者で成り立っている情報交流の発信地だとあらためて感じた。

建物の大きく開放的な窓側には周囲を囲むように閲覧席が置かれている。北側を眺めると改修中の岡山城が上の方だけ姿を見せていた。新緑が目に優しい。ここだけ特別に時間がゆったり流れているような気になったのはここが生まれ故郷であるためかもしれないが。

で?今回の訪問で日々の仕事にフィードバックできそうなことはあったのかな?はい。ありすぎてここでいうとプレッシャーになりそうなので、おいおい現場で活かしますということにさせてください!

皆さまも旅行先で時間が取れたらふらっと図書館に行ってみると楽しいかもです。

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