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スタッフコラム「選びたい!」

図書館の児童開架スペースでは、さまざまな声が聞こえてきます。

子「これにするぅ。」
大人「今返した本でしょ、違うのにして。」
子「これ読みたい。」
大人「それ?無理よ。それよりこっちの方にしなさい。」
など。

そうだよね、自分で選んだ本が読みたいよね、と
そばで会話が聞こえてくると、お子様の味方をしたくなります。
そういえば、自分が初めて選んだ本は何だったかなと考えていたら、
ねこの絵本を思い出しました。

幼い頃、母に連れられ最寄りの図書館に通っていました。
当時、児童室の真ん中に大きな円形のソファがあり、
そばに背の低い本棚が配置されていました。

そこは、座りながら絵本を手にすることができるので、
壁面にも大きな本棚があるのですが、子供たちに大人気でした。
大勢の子どもがソファに座ったり、寝転がったりして、
いつも賑わっていました。
私は毎回そこに近寄れず、母の手に引かれるままでした。

ある時、図書館に行くとソファコーナーが静かでした。
誰も座っていません。

すると、いつも見えないはずの低い本棚が見え、
こちらを向いている絵本に目が止まりました。

急いで母の手を振り払い、
ソファに駆け込み膝立ちをして、手に取りました。

ねこの絵本です。
誰もいないソファに座り、夢中でページをめくりました。

その絵本は、ねこの絵が擬人化されていなくて、
きちんとねこでした。

本物のねこだ!という驚きと共に、
物語もねこだ!と大変気に入り、ねこはこうじゃなくっちゃ、など
大人びたことを口にしたような気がします。

そんなことを思い出し、
タイトルがわからないまま膨大なねこの絵本を調べてみたら、
(まあ、すぐにわかりましたが。)
稲城市立図書館にもちゃんとありました。
長く愛されてきた絵本の中の一冊、『ちいさなねこ』です。

そうそう、これこれ、この絵本。
当時を思い出し、表紙のねこをじっくり見ていたら、
ねこの目が、自分の妹の目に似ていることに気づきました。
もしかしたらこの絵本を初めて見た時、
妹のことも思っていたのかもしれません。

本を選ぶ理由は、
言葉では表せられない幾つもの大きな魅力が、
本に備わっているように感じます。
お子様がご自分で本を選ばれた際には、
難しいかもしれませんが、そのまま受け入れていただけたらと願います。


◆参考図書
『ちいさなねこ』《こどものとも》傑作集
石井 桃子/さく 横内 襄/え
福音館書店
請求記号:E1/イ (610998631)他

この絵本は、
稲城市立図書館の「すてきな絵本たのしい絵本 0・1・2歳」
のリストに載っています。
そちらもあわせてご覧ください。

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