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スタッフコラムにお便りをいただきました

こんにちは。稲城市立図書館です。

図書館ホームページ上で図書館スタッフが不定期に更新している「iブラリブログ」。

図書館スタッフが自由なテーマで記事を書く「スタッフコラム」、今年3月に図書館ホームページにて公開した「たいへん」というコラムについて、先日、ご利用の方からお便りをいただきました!

そのあたたかいエピソードに、そしてスタッフコラムへの返歌をいただいたようで、私たち中の人間はとても感動いたしました。

お便りいただいたご本人に許可をいただき、今回はこちらのコラムとあわせて、そのお便りをご紹介させていただきます。

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「たいへん」

噂には聞いていました。

「途方に暮れた」
「ケンカになった」
「すごく大変で疲れ果ててしまった」
「時間と経費がとにかくかかった」
「もっと早く、生きている時にやるべきだった」

実家の荷物の片付けのことです。

親が亡くなってしばらく経ち、やっと私も重い腰を上げる気になってきました。

「私たちが死んだら何でも捨ててちょうだい。」
と笑顔で話していた親の荷物の多さにびっくり。
ほんとに何でも取ってありました!

昭和ひとケタで生まれ。
物のない戦前・戦中・戦後を生き抜いた人で、一応普通の生活水準を成しえた人の押し入れ・タンスには、物がぎっしり詰まっていました。

唐草模様の大きな風呂敷には、私たちが帰省した時に使うようにと、お客様用の布団が何組もそっくり新品のように取ってあり、押し入れの中で層をなしていました。

タンスには、律儀にも一枚一枚クリーニングに出し、ビニール袋が被ったままの洋服がぎっしり詰め込まれていました。

この年代の人は「何かあった時のため」にとにかく取っておくのが習い性。

お呼ばれした結婚式の引き出物が多数。
昔の結婚式の引き出物は見栄えが良く、持ち帰るのにも大変な
かさ張る物が主流でした。

また、何かの行事名入りの記念品も多数。
今は廃線となっていますが、会社に引き込まれていた鉄道の線路(実物)30㎝もありました。

労使交渉で使ったらしい文言が赤で染め抜かれた手ぬぐいハチマキ数枚まで、端がほつれた物でもきちんとたたんで取ってあるのには、笑ってしまいました。

皆さまはアルバムの整理で懐かしい写真に目がいき、見入ってしまい、片付けが捗らなかったとよく聞きますが…私はまだその段階にも行っていません。

しいて言えば、私が子供の頃で親が40代、50代で着ていた服に懐かしさを覚え、その頃の元気だった両親、にぎやかな団欒がよみがえってきました。

高齢になってからの服には、私が何かのついでに送った物が、あまり袖を通した様子もなく、次々と出てきました。

真新しい下着も山のように取ってありましたが、普段は自分で繕ったりした物を着ていたようで、病院にかかるようになって、それでは恥ずかしいと着始めたようです。

しかし、すぐに介護のしやすい肌着のお世話となり、手付かずのままタンスに納めてありました。
離れて暮らす私もそこまで気が回らず、申し訳なく思いました。

私自身を省みて、今流行りの断捨離ではありませんが、終活を始めても遅くない年代になってきました。
身の回りの整理の時期が来ていると強く感じました。

(追伸)
物を取っておくことを、さも悪いことのように書いてしまいましたが、この数週間、お店に行っても陳列棚にマスクなし、消毒薬なし、ティッシュなし、トイレットペーパーなし
本当に何もない不便さを生き抜いた親は親のように物を取っておくことを否定できなくなりました。
本当に何もない不便さを生き抜いた親はやっぱりすごかったですね。

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次に、いただいたお便りをご紹介します↓

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「実家の片づけのブログを読んで」

偶然、読んだiブラリブログで実家の片づけを読みました。私が15年前に経験したことに重なりました。

母が大事にしまっておいた物置の中で、大きな鍋を見つけた時、この鍋で大量のおでんを煮て食べたことを思い出しました。兄弟5人が家族で集まると20人にもなります。寒い冬でも、大きな鍋でぐつぐつ煮込んだおでんを食べると、温まります。わいわいがやがやしゃべりながらみんなでおなか一杯食べたことが思い出されました。

梅を漬けた大きな瓶も、夏の暑い日に、暑さに負けないようにおにぎりの中に入れて持たせてくれたこと。たぶん、いつかは使う、いつかは役に立つと思って取っておいたのでしょう。私が子どものころ、毎日使っていた「かまど」までが隅に置いてありました。物が少なく、貴重だった時代を生き抜いてきた母の時代を映し出していました。

そのころ、まだ仕事をしていたので、時間を見つけて実家に通っていたのですが、片づけながら、母の人生を私の人生に重ねていました。

「断捨離」という言葉が流行っていますが、時間はかかりましたが、私は「暖謝離」の時間を過ごしたと思いました。
「暖かい思い出に感謝して離れていく」ひとときでした。

たくさんの本の中に、たくさんの人生が詰まっているように、物にはたくさんの記憶が詰まっているのです。

コロナ禍の今、今度は、私の身の回りのものをじっくり見て「暖謝離」に取り組んでいます。

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この度は、お便りありがとうございました。

稲城市立図書館も、本をはじめとした資料や情報でご利用される方々の想いをつなげていけるような場を目指して参ります。

今後ともよろしくお願いいたします。

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