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展示、されど展示

稲城市には6つの図書館があり、そのうち私が勤務している稲城市立中央図書館の休館日は、毎月第四月曜日(第四月曜日が祝日の時は翌日の火曜日)の一日のみです。

この休館日こそ、「お休み」とは程遠く、日ごろ交代勤務を行っているスタッフが一堂に会する日であり、ご来館者がない日しかできないことをするべく、朝から時間刻みのスケジュールが組まれる、ひと月で一番慌ただしい一日となります。

近づく第四月曜日

この日しかできないことの一つに、特集展示の入れ替えがあります。

中央図書館では、一般向け展示が2か所のほか、ヤングアダルト(YA)向け展示・CDやDVDなどの視聴覚資料特集展示・児童向け展示、このほか、毎日入れ替える「毎日展示」、単発的に入れ替える「木棚展示」、喫茶室横での展示など、様々な場所で展示を行っています。

季節や行事・ニュースや旬の話題など、様々なテーマで行う展示は、普段は手に取らない分野や視点を変えた見方など、多様な本との出会いをご利用者に提供できる、いわば図書館の顔ともえいるものです。

また司書にとっても、展示は選書時にその分野の資料の不足や蔵書内容の古さなどに気づくチャンスとなるため、新たに補充する資料の参考となり、蔵書構築へとフィードバックすることができる機会となります。

このように、展示は良いこと尽くしの、中の人にとっては気合を入れて準備するとても大事な仕事…

…そう、そうなのです…。

それは重々承知しているのです。

でも、第四月曜日が近づくと気持ちが徐々におも~くなっていく自分がいます。

何を隠そう、小学校以来、通信簿でいつも最低評価だったのは美術。書いた絵も塗った色も誰よりも下手だった記憶が今も鮮明に残っているくらいなのですから、筋金入りです。

そんな私ですから、展示の飾りつけはまさに美術の授業の再来、苦行以外の何物でもありません。

中の人歴、15年以上。一般書担当、一年未満。

こんなに大変だったのか!知らんかったぞ!

展示を見るだけの立場から、する人へ

一般書担当になるまで、展示はずっと見るだけの立場でした。

が、一般書担当=一般書展示をする人。

実際やってみると、歴代の担当者の素晴らしい展示が思い返されて、改めて尊敬の念でいっぱいになります。

休館日の午後は展示の時間。といっても実際の作業に充てることができるのは2時間程度。この時間内で飾りつけをして、資料を展示する必要があります。

年間計画であらかじめ決めたテーマに合う資料、飾りつけのためのロゴやイラストは前日までに用意しておきます。イラストなどは適当な形や大きさに切っておけると理想です。

実際に飾りつけをしてみたら、空間にもっとイラストが必要だったり、ロゴの大きさや色が適していないため変更になったりすることもあるので、前もっての準備がポイントとなるのです。

熟練者は立体的な展示になるよう、布を使ってステージに見立てたり、部屋の一角を思わせるような温かみのある工夫をしたりしますが、一年に満たないひよっこには三次元の世界は程遠く、二次元の世界でアップアップです。

今月こそは入念に準備して・・・と思ってはいるものの、アイディアのないまま時間ばかり経ち、やっつけ仕事のようなパッとしない仕上がりで、目に焼き付いた歴代スタッフの展示とのあまりの落差に悲しい気持ちになってしまいます。

そんな姿を見かねたのでしょう。自分も別の展示を担当している仲間が、少し時間に余裕があるからと、そばで一緒にポップ作りを手伝ってくれながら、

「自分も展示が重荷で毎月どう準備してよいかわからなかったけれど、やっていくうちに発想が広がり、準備すべきロゴの大きさやイラストなどが思いつくようになった。時間と経験が必要なのだから焦らないで

とアドバイスをくれました。

いつも素晴らしい展示をするその人に重荷ととらえていた頃があったなんて!?と信じられない気持ちで聞きましたが、確かに、誰しも展示を経験する機会はあまりないもの。初めからできることではないのかもしれません。

ひよっこ司書は修業中

どこの図書館でも、展示は避けて通れない大切な仕事。

広い空間をどう飾り付けるか、どんな発想をすれば目を引く展示となるのか。糸で上からぶら下げてみたり、いろんな色を使ってみたり、立体的にしてみたり、これからもあきらめずに修業を続けてみよう思います。

ところで、稲城市立図書館の展示はHPやSNSでも発信しています。

ということは、ご来館者だけでなく、全国どこからでも見られてしまうという、なんと恐ろしいことなのでしょう!

さて、経験を積めば、いつか皆さまに楽しんでいただけいる展示ができる日が来るのか否か???

どうか、これからもこのおちこぼれのひよっこ司書のつたない展示を、なが~く温かい目でご鑑笑くださいますようお願いいたします。