この状況下だからこそできることは――きっかけとなったSDGs特集展示
稲城市立図書館では、2021年9月現在も閲覧席のご利用などサービスを制限して開館しております。特に中央図書館では、閲覧席もご好評いただき大変多くの方にご利用いただいてきましたが、やむを得ず空席とする状況が続いてきました。
この状況下で、さらに図書館としてできることはないだろうか。そう考えていた時に館長より浮かんだアイデアが「閲覧席を特集展示スペースとして転用し、さらに多くの資料をご紹介する」というもの。その皮切りとなったのが「SDGs特集展示」でした。
館長のひと声から生まれた新たな景色
ご存じの方も多いかと思いますが、SDGs(持続可能な開発目標)では17の目標が掲げられています。その一つひとつに関連した資料を集めると大掛かりな特集になるだろうというイメージから、各目標ごとに20冊程度の資料を選定しました。合計で300冊以上の資料を面出しするような特集展示は、むしろ平時では行うことが難しいものです。設営完了後は私たち自身が「おおー」と感嘆し、見たことのない景色に出会ったような充実感に浸ってしまいました。
特集展示を開始してからはすぐに反響があり、特に学生のお子様を持つ親御さんからのお声が多くありました。この頃はまだ「SDGsって何ですか?」といった質問もちらほらありました。また、たまたま訪れたという市外学校で教員をされている方から「素晴らしい取り組みですね」とお声がけをいただいたこともありました。
窓側に列をなす閲覧席から始まったSDGs特集展示。3か月が過ぎた2020年末、より大きな平机があるコーナー(レファレンスコーナー)に移設しました。こちらでは、資料を一望することができるようになり、視認性が高まりました。さらに、大きなポスターを用意するなど機運を高めました。この頃から、館内では徐々に平置きを中心としたさまざまな特集展示が増えていきました。(そのお話はまた別の記事で!)
・そのほかのSDGs関連特集展示↓
ご意見をもとに資料リストを公開
ご意見として特に多かったのが「展示資料のリストはありますか」というもの。当初は内部用として存在はしていたものの、「子供が通う学校図書館での参考にしたい」「この特集を全部読んでいきたいのでリストが欲しい」といったお声をいただき、資料リストを配布用に改訂し、Web上でも公開することとしました。
夏には、学生の方々やその親御さんがご利用いただく姿が多く見られ、学校での課題の参考とされる方も増えていったようです。さらに現在では、展示資料一冊ごとに専用のラベルを付して、ご利用いただきやすくしました。
SDGs特集そのものが、中の人にとってのSDGsに
この特集展示を機に、私たち中の人は、コロナ禍におけるその後の図書館の在り方をさらに考え、行動していくこととなりました。オンラインでの取り組みだけでなく、その行動の基軸となったのが、館内特集展示の充実であると捉えています。つまりは、SDGs特集展示を行ったことそのものにより、私たち図書館員自身がSDGsの一部を体現したようにも思えるのです。
今後は、資料から資料を連想させていくような展示やスタンプラリーなどに発展させていく予定です。お楽しみに!