光って見える?!
図書館員にとっての大事な業務の一つに「引き当て」と呼ばれるものがあります。予約された資料を書棚から探して、確保する業務です。一日に行うその回数は各館によって様々です。
図書館では、いろいろな本に予約が入ります。
よく借りられる本、あまり借りられない本などなど…。
特にあまり借りられない本では、新たな発見も多く、読んでみたいなと思うものやページ数が多い本などもあり、利用者の方々の興味の幅に感嘆させられることもよくあります。
図書館の資料には、日本十進分類法(NDC)をもとにした、本の住所ともいえる「請求記号」が本の背表紙に貼ってあります。図書館の中の人も、これを手がかりに予約の入った本を見つけていきます。
しかし、あるべきところに本が無い!!
通常ならば、すぐに見つけられるのに…
行方不明探しの始まり
見つからない時には、不明の本を人に例えると、迷子というか行方不明探しの作業が始まります。
多くの場合は、その住所の場所や近くの場所を探すと見つかるものです。
しかし、その住所付近を探してもやはり見つからないこともあります。その本をさらに調査するのが、私の仕事でもあります。
読みたい利用者の方が待っていますし、とにかく探し回るのです。
読み間違い
まず、背表紙に貼られている請求記号の読み間違いということもあります。
請求記号の数字を読み間違えてしまう事。
例えば「361.6」が本来の住所だとすると、「316.6」や「381.6」など、本を戻す作業が多い時の見間違いによるものもあると思われます。
そういった場合は、本来の住所である「361.6」の場所からは遠いので、なかなか確認することが出来ない場合があります。
情報+想像力を駆使
さらに、それとあわせて、本の情報を探ります。
まずは手掛かりとして、インターネットなどから書影(表紙)の情報を見つけます。ただ、書影がわかっても、背表紙の情報はほぼ掲載されていません。
ではどうするか。想像で背表紙の色を考えてみたりするのです。
最近は、表紙にあわせて背表紙も続きの模様・柄だったりすることもありますが、背表紙だけ白地に色文字など、特色がないものもあります。
さらに、文字の色や字体なども見ます。
本の大きさ、また、新書などは背表紙が特徴となるものも多いので、それを手掛かりにします。
それでも見つからなかったら
そこまで調査して、それでもなければ、残念ながら「不明資料」扱いとなってしまいます。
不明資料となると館内のどこかにいるのだが、もはや探せないというジレンマもあり…本の整頓をしている時に、偶然に見つけることもあり嬉しいけれれど、”今日の運”を使ってしまったような複雑な気分になります。
まれに、特に利用者の方が不明資料扱いとなっていた本を借りている姿を見かけることもあります。その時はどこで見つけたのか聞きたい衝動にかられます。
「光って見える」という図書館あるある
私も不明資料を探すことは難しいのですが、図書館の中には、そういった資料を見つけることが得意な者もおります。よく見つける事が得意な者に、どう見えるのか聞いてみたことがあります。
すると「光って見える!」との事。
聞いた時は、「えっ?!」と思い、光って見えるのか…と不思議な感じになったのが印象に残っています。
現在自分自身が不明捜査をしている時でも、見つかった時には、
その本自身も自分の居場所ではなかったせいか、確かにタイトルが輝いて見えたり、文字がちょっと大きく見えたり…と、本自身も「見つけてくれた!」と思っているような感覚になることもあります。
この感覚、きっと書店員の方々などもおわかりいただけるかと思います。これもまた、「図書館あるある」なのです。
図書館の本はいろいろな方に手に取ってもらえるのを待ってます。
たくさんの楽しい本との出会いを楽しんでください。